第12回
大歳の市あれこれ

大アーチが掛けられた1956年の大歳の市

スクーターに乗ったサンタが登場(1955年

■ 毎年クリスマスイルミネーションやセールでにぎわいを見せている新天町の12月。戦後の様子はどうだったのだろう。前回に続き、振り返ってみた。

 「大歳の市」と呼んで歳末セールを盛り上げていた新天町。1952(昭和27)年には、テーマを「暮らしの設計」として福引の景品をすべて家具でそろえて話題になった。西日本新聞でも「500円の買い物でくじに当たればタンス、本箱、鏡台、針箱、机から風呂おけまでごっそりもらえる。圧巻は特賞の調度品一式で、実に18点の家具(約15万円)。ブルジョアの応接室も顔負けのシロモノである」(12・8)と伝えている。家具18点には二科会員の伊藤研之さんの油絵までセットになっていたというから念が入っている。

 これが当たったのは、朝鮮半島から引き揚げてきた中学2年生。「父が家具をそろえるのに苦労しているのを知っています。これで親孝行ができました」という感激の言葉が残されている。
 55(昭和30)年も面白い。サンタクロース10人がスクーターで街中を行進して人目を引いた。さらに、恒例の福引では500円ごとに抽選券1枚でビール、しょうゆ、歯磨き粉、映画招待券などがいずれも1年分当たるという大盤振る舞い。人気を集めたことはいうまでもない。

 その翌年は戦後一番の「神武景気」だったこともあり、新天町には高さ2bのビッグな門松が建てられた。中央の通りには大アーチも掛けられ、「新天町」の文字の周りには7色のネオンが鮮やかに輝いた。人々が楽しみにしていた福引の景品は、長崎・雲仙への「夢の初旅」や干支(えと)にちなんだ若鶏1000羽。生きたニワトリを持ち帰る人々の姿が通りにあふれた様子は、なんともユニークな光景だったことだろう。

 

   
新天町物語TOP

Copyright(c)2000-2002 SHINTENCHO All Right Reserved

 

inserted by FC2 system