第11回
戦後の歳末大売出し

1950年の「酒ずくめ歳末大売出し」。抽選券を集めてカウンターで一杯、が人気を呼んだ

特賞当選者には4斗だるをお届け

■ 今年も残すところわずか。街はクリスマスや歳末セール、年越しの準備でにぎわう時期だ。

 新天町の初の歳末大売り出しは、創業1946(昭和21)年の12月20日から行われた。サンタクロースが町内をかっ歩し、大きな門松が飾られ、華やかな雰囲気。戦後の福岡に久々に現れた風物詩に、人々の気持ちは大いに活気づいた。とはいえ、この当時は石炭不足のために電力事情が悪く、停電もたびたび。午後8時までの営業時間の中では、店員が慌ててロウソクをともす光景がよく見られたという。ちなみに福引の景品は1等タンス、2等応接セット。手持ちの衣服を食料に換える「タケノコ生活」という言葉が流行していた時代に、新天町が力を注いで用意した品だった。

 49年の歳末大売り出しには、余興として新天広場でもちの曲づきを披露。「みんなでよい年越しを」という思いから、出来上がったもちを恵まれない人々の施設に贈ったというエピソードも伝わっている。

 朝鮮戦争の特需景気にあずかった50年には「酒ずくめ大売出し」が企画された。商品購入100円ごとに抽選券を1枚配布。景品は特賞「こもかぶり4斗だる」、2等以下は3升、2升、1升、5等が杯1個だった。さらに抽選券5枚ごとに「飲ませる酒券」を進呈。新天町内の一角にカウンターやテーブルが用意され、日本髪を結った娘さんのお酌で1杯…、この趣向が大いに受けた。女性客にはお持ち帰り用の小瓶も用意されていた。

 人気を再びと、翌年歳末も「酒ずくめ」。広場のステージでは民謡の歌い手が八木節を張りのある声で披露した。ほろ酔い気分の買い物客の合いの手とともに、大いに盛り上がったという。

 

   
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