第37回
新天町を訪れた有名人

■「ミス・ユニバース世界大会で日本人が初入賞」。1953(昭和28)年、戦後の復興に力を尽くす日本に華やかなニュースが流れた。3位に入賞したのは当時ファッションモデルとして活躍していた伊東絹子さん。身長164cm、86cm、65cm、ヒップ92cm。小さい顔、スラリとした長い足、50年以上前の女性としては目を見張るプロポーション。顔が身長の8分の1だった彼女の体形から「八頭身」あるいは「八頭身美人」という言葉が流行語となるほどであった。
 1年後の54年10月28日。その伊東絹子さんがミス日本の原田良子さんとともに新天町へやって来る。5月の大火で焼失した店舗の「新築落成式」で紅白のもちをまくためだ。式典にはほかに、緒方竹虎自由党副総裁、杉本勝次福岡県知事、小西春雄福岡市長ら、そうそうたる顔触れがそろった。
 彼女の抜群のプロポーションをひと目見ようと、押し寄せた人、なんと2万5000人。会場の内外は人、人、人で埋め尽くされ、屋根の上にも見物人がひしめく。殺到する群衆のために2人は車から出られないほどだったという。
 同年は、”永遠の妖精”といわれたオードリー・ヘプバーン主演の「ローマの休日」「麗しのサブリナ」、黒澤明監督の傑作「七人の侍」、日本を代表する怪獣「ゴジラ」の1作目、壺井栄の名作「二十四の瞳」など、今も愛されている名作映画が続々と公開された年。平和の訪れとともに、娯楽の分野でも息を吹き返してきた時代であった。

 

   
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