第35回
景品の旅行でひともんちゃく

■1984(昭和59)年のクリスマスセール。新天町の宣伝部ではドカンと一発、知恵を絞り「100万ドルの面白さ」をうたう抽選企画を思いつく。買い上げ3,000円ごとの抽選で、特賞はニューヨーク・ブロードウェーの旅。金髪女性が踊るポスター、新聞広告で派手に宣伝した。
 ところが、商戦たけなわの12月15日、新天町組合理事長あてに届いた1通の手紙に一同色を失う。差出人は奥田八二福岡県知事。内容は「不当景品類および不当表示防止法第3条に基づく懸賞による景品類の提供に関する事項の制限第4項に違反する」といういかめしいものだった。法律による景品提供最高限度額は当時20万円。それを知っていた宣伝部は、このころ旅行代理店が20万円で売り出したサービス価格のツアーを景品に選ぶ。しかし、県ではこれを通常価格37万円と判定し、食い違いが起こった。
 宣伝部では直ちに、県当局の指示に沿って善後策を急いだ。「招待」を取りやめ、20万円を超す旅行費用については当選者の負担とする「優待」企画に改める。旅行招待が違反であったことを西日本新聞、新天町商店街の入り口や抽選所で告知する。印刷物やCM街内テープ放送を修正する。8日後、このような報告文書を県消費生活課あて組合長名で送付した。
 悪意のない手違いであったことと、誠意を尽くした善後策は県当局の認めるところとなり、ハプニングは一件落着、宣伝部は前にも増してクリスマスセールの先頭に立った。「雨降って地固まる」とはまさにこのこと。その後、セールは滞りなく行われ、大きなにぎわいをみせたという。

 

   
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