第34回
大歳の市 大宇宙セール

■「地球は青かった」。これは、1961(昭和36)年4月、人類初の有人宇宙飛行に成功したガガーリン少佐(ソ連=現ロシア)の有名なメッセージ。宇宙がぐっと近付いてブームとなった60年代。新天町も例外ではなかった。
 62年の師走。新天町は大歳の市を「宇宙セール」と大きく出た。買い上げ500円ごとに1回、抽選のチャンス。天体望遠鏡など宇宙に関する賞品が購買欲をくすぐった。
 中でもほとんどの人が仰天した賞品が、火星賞の副賞「火星の土地10万坪」(本賞は赤外線美容灯)。ジョーク混じりだからといって、偽りではない。その数年前、日本宇宙旅行協会なるロマンチストの集団が東京に誕生。理事長には、科学ジャーナリスト・原田三夫、常任理事に声優・徳川夢声、推理作家・江戸川乱歩、漫画家・横山泰三ら、そうそうたる顔触れがそろっていた。
 同協会は、火星の土地1万坪(3万3000平方メートル)200円で”分譲”。
 画期的な仕掛けでアッと言わせてきた新天町が、こんな夢のある企画に飛び付かないはずはない。同協会からさっそく分譲契約書を取り寄せ「空想するしあわせ」を贈る作戦に出た。博多にわかを知るユーモアに富んだ福岡市民から「新天町もやるバイ」「しゃれとるな」と大いにウケた。
 期間中は火星人3人と月から来たウサギ2匹が新天町などを歩き、愛きょうを振りまいた。このにぎわいは、12月25日午後、歳末の話題としてNHKテレビで全国中継。各地で大きな反響を呼んだという。

 

   
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