第24回
飾り山“赤毛”論争

■「オッショイ!」の掛け声とともに、山笠一色に染まる福岡の夏。新天町にも毎年さまざまな題目の飾り山が登場し、訪れる人を楽しませる。
 1954(昭和29)年の飾り山は、表がカンヌ映画祭でグランプリを獲得した「地獄門」。これだけでも話題十分だが、そのうえ見送りが「シンデレラ姫」。シンデレラは演劇用語で外来ものを意味する「赤毛もの」に属する。これが当時、伝統を破るものとして、カンカンガクガクの大論争を呼んだ。
 博多 園山笠の飾り山は、 田宮に奉納する神事の一つであり、古来から格式が重んじられている。テーマも浄瑠璃、能、狂言などの芸題に限定され、多くのタブーが伝えられてきた。新天町はそこに新しい風を吹き込もうと、前代未聞の題材を選んだのだった。
 「神事に外国のものを持って来るとはもってのほか」と非難する山笠振興期成会(現・博多 園山笠振興会)や否定的世論に、当時の新天町は中国の故事が山笠になった前例を挙げ「中国だって外国でしょうもん」と反論。「新しさ、鋭さこそ祭りをさらに発展させる」と主張した。新聞も「…子供たちは大喜びだし、心の清いシンデレラ物語だけに教育的な面もよかろう」という記事を掲載するなど、世論も味方になった。
 "赤毛論争"を境に、ほかの町の飾り山も自由に題材を取り入れ、ますます多彩になっていく。新天町の斬新な試みが山笠の新しい1ページを作ったといえるだろう。
 あれから50年。今年の飾り山笠は、表が新選組をモチーフにした「忠臣集旗下(ちゅうしんきかにつどう)」、見送りにはテレビ番組「空とぶヒヨコ」がお目見えする。

 

   
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