第20回
蘇った三十三羽鶴

■5月の名物、博多どんたく。戦後復興への足掛かりをつくった新天町では、毎年店主を中心に情熱を込めて参加。どんたく隊には特に力を入れている。中でも1985(昭和60)年には、長らく途絶えていた「三十三羽鶴」を復活させて話題をさらった。
 江戸期の資料によれば、三十三羽鶴は博多どんたくがまだ「松囃子(まつばやし)」と呼ばれていたころの行列に欠かせない彩りだった。タンチョウヅルが松の小枝をくわえた、めでたい「松食い鶴」の作り物を頭にかぶった女性33人が行列するものだ。
 江戸時代の博多古川柳にも「長屋から三十三羽の鶴が飛び」と、豪商・島井宗室以来続く屋敷(博多浜口町・現在の博多区中呉服町)長屋から博多の街に華やかに繰り出した様子が詠まれている。また、33羽というのは33歳の厄年を迎えた女性が参加することで厄を落としたとする説があるが、本当のところは分かっていない。
 新天町がこれを初めて復活させた年は、規模も大掛かりに五十数羽の一行とした。大きな鶴を付けた花笠姿の華やかな一団は、ひときわ目を引き、前夜祭から早くも人気に。本番の市民による人気投票では西日本新聞社賞を獲得した。
 以来、新天町のおなじみの一団になっている。今年の鶴の練り歩きにもご注目いただきたい。

 

   
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